【メリット/デメリット】イギリス発のSIBとは?日本では横須賀市が初導入

こんにちは。NALです！

今回はSIBを取り上げます。

このSIBとは、Social Impact Bondの頭文字を取ったものですが、一般にはあまり馴染みのない言葉かもしれません。

それもそのはず。
これは2010年にイギリスで開始された制度なのです。

しかし、2015年現在ではイギリスを中心に世界9カ国以上で実施され、SIBの案件は30件以上にも上ると言われています。

今や世界各国に広まりつつあるSIBですが、これは簡単に言うと”社会貢献型の投資”です。

投資家は社会貢献に取り組む事業にお金を出します。
そしてその事業が成果を上げれば、投資家は出資したお金に応じて配当金が得られるという仕組みです。

そしてこのSIBが我が国日本でも既に導入されているのです。

しかし、導入したと言っても現段階ではまだ実用化にまでは至っておらず、試験的な運用にとどまっています。
ただ、この試験運用が成果を上げれば、日本でも本格的に導入されることになるでしょう。

今回は新しい投資モデルSIBについて調べてみました！

イギリス発祥！SIBとは？簡単に説明すると・・・

目下、日本を騒がすSIBですが、そもそもこの投資は一体どんなモデルなのでしょうか？

冒頭でもお伝えしたようにSIBは”社会貢献型の投資”です。
しかし、これだけでは抽象的過ぎて意味が理解できないことと思います。

SIBついて『公文教育研究会』はHPで次のように説明しています。

このことからSIBの目的は民から提供された資金を元手として社会事業に投資し、各種社会問題の解決やコストを削減することにあることが分かります。

投資家への配当金は成果を上げた事業や削減されたコストの中から出資比率に応じて支払われるというわけです。

イギリスでは2010年からSIBがスタートしており、官民連携の下に一定の成果を上げているようです。
イギリスでの取り組みのひとつとして次のような事例が挙げられます。

行政は元受刑者の再犯率を下げるための取り組みに対して民間から出資金を募りました。
その出資金を更生プログラムに充当したり、それによる刑務所への収監コスト減などで得られた利益を配当金として投資家へ還元しています。

イギリスでの事例が成果を上げているからこそ、SIBはこれほど急速なまでに全世界へ波及していると言えるでしょう。

日本初！横須賀市がSIBを導入

我が国日本でもSIBが導入されたということは前述した通りですが、その受け皿となったのが神奈川県横須賀市でした。

横須賀市がSIBの運用を始めたのおは2015年4月。

横須賀市で行われている取り組みは特別養子縁組を促進する事業です。
横須賀市には児童養護施設が2箇所ありますが、現状ではそれでも足りず、市外の施設も利用しなくてはならない状況に陥っています。

かねてより児童養護施設では退所後の自立の難しさや愛着障害などが大きな課題とされてきました。

しかし、同市が取り組む特別養子縁組の事業が滞りなく進めば、児童たちは里親の家庭で育ててもらえることが可能となるわけです。

この事業が成功した場合、児童ひとり当たりの行政コストが削減され、その分が投資家たちへ配当金として還元されます。
また、期待される効果はそれだけではありません。

この事業によって児童たちの里親が見つかれば、社会問題という大きな課題を解決することにもつながるのです。

現在、横須賀市は2015年度の1年間で4人の特別養子縁組の成立を目標に掲げ、精力的に取り組んでいます。

SIBのメリット/デメリット

官民一体となって社会問題を解決する有効な手段として大きな期待がかけられているSIBですが、それはこのモデルに問題がないというわけではありません。

本項でもSIBの持つメリット/デメリットについて考察していきます。

SIBのメリット

SIBの主なメリットは以下の2つ。

（１）効率的な資金運用が期待できる

（２）「社会貢献に寄与した」という社会的イメージの向上

まず、（１）についてですが、しばしば行政の事業は効率的ではないと世間の批判に晒されています。
我々国民にとって資金の使い道や流れが見えない以上、そこには不透明な要素が多く存在しています。

そのため、「国民の血税が適正に使われているのか？」という根本的な疑問が浮上するのです。

しかし、SIBでは民間のお金を元手に事業を行います。
つまり、民間のお金を使う以上、SIBにはしっかりとした成果が求められるということです。

万が一、成果が上がらないような事業であれば、投資家はすぐさま資金を引き上げることが予想されます。
それどころか、行政が次回の出資を募った時、誰ひとりとして協力する投資家はいないでしょう。

常に民間の目に晒されることによって行政はこれまで以上にシビアな事業計画、運用をしなければならなくなります。

続いて（２）の社会的イメージの向上ですが、この効果は意外に侮れないものがあります。
企業にとって社会的イメージが持つ影響力は計り知れません。

イメージひとつで会社の業績が大きく左右される事例も珍しくありません。

そのため、「社会貢献に寄与した」というイメージがその企業にとって大幅なメリットをもたらすことが期待されます。
もちろん、企業イメージの向上はあくまで二次的なものであり、肝心なことは言うまでもなく社会貢献に寄与することにほかなりません。

SIBのデメリット

前項ではメリットについてご紹介しましたが、本項ではデメリットについてご説明します。

SIBの主なデメリットはリターンが得られないこと、つまり、損失を生む可能性があることです。

これはSIBに限らず、全ての金融商品に言えることですが、投資である以上、当然のことながらリスクもあります。
SIBが失敗に終われば、投資家はリターンを得ることはできません。

また、契約内容によっては元本保証を受けられず、元本割れを起こす可能性すらあります。

そのため、投資家には行政は打ち出す事業の中身を見極める先見性が必要となるでしょう。