【水晶ドクロ＝オーパーツ?】うそと捏造が暴かれたマヤ文明の遺物『ヘッジス・スカル』の真実

こんにちは。NALです！

今回は『水晶ドクロ』を取り上げます。

水晶ドクロといえば、1927年にその存在が確認されてから、その真贋を巡って世界を巻き込む大論争にまで発展したことで有名ですね！

世界中で出土された事例が報告されている水晶ドクロですが、その存在意義や目的については未だに解明されていません。
そのため、2016年現在でも多くが謎に包まれたミステリアスな存在となっています。

しかし、だからこそ科学技術が発達した現代でもその真贋を巡る論争が絶え間なく繰り広げられているのでしょう。

現代でも人々の興味を引きつけて止まない水晶ドクロとは一体どんな代物なのでしょうか？

今回は今なお不思議な魔力で人々を虜にする水晶ドクロについて調べてみました！

水晶ドクロとは？

水晶ドクロとは、その通り、水晶で作られた人間の頭蓋骨模型のことです。

2016年現在、世界中から出土されたという報告のある水晶ドクロの数は十数個にも達します。
その多くがマヤ文明やアステカ文明、インカ帝国などに代表されるような中南米の考古遺物と考えられています。

しかし、出土された水晶ドクロは当時の技術力では到底及ばないほどの完成度を誇っているため、一部の人間からは「オーパーツではないか？」との声も挙がっています。

このオーパーツとは、英語で「out-of-place artifacts」と表記し、その意味は「場違いな工芸品」を指します。

つまり、オーパーツとは、それらが発見された場所や時代に全くそぐわないもの、不釣り合いなものと定義できます。

水晶ドクロがオーパーツであるか否かにせよ、これらが世界中で発見されていることは事実です。

今なお多くの謎を残す水晶ドクロにはある言い伝えがあります。
その代表的なもの次の2つです。

・「水晶ドクロの数は全部で13個ある。
　その全てが一ヶ所に結集した時、宇宙の謎が暴かれる。」

・「2012年にまで一ヶ所に集めないと世界が滅びる」

一つ目の伝承にある”宇宙の謎”とは、「人類の起源や目的に始まり、運命に関する情報や生命および人類の謎に対する解答」とされています。

この伝承の出自は不明ですが、一説にはアメリカ先住民の伝説とも言われているようです。

しかしながら、これらの言い伝えは”俗説”や”迷信”の類とみなされています。
実際のところ、2012年の時点で水晶ドクロは19個発見されおり、また2012年までに世界が滅びたなどという事実は存在しません。

“うそ”や”捏造”が指摘された水晶ドクロ『ヘッジス・スカル』とは？

世界中でその存在が確認されている水晶ドクロですが、中には”うそ”や”捏造”だと指摘されたものもあります。

そのひとつが水晶ドクロの代名詞とも言える存在の『ヘッジス・スカル』です。

この水晶ドクロは1927年にベリーズ南部の遺跡「ルバアントゥン」で発見されました。
発見者はイギリスの探検家ミッチェル・ヘッジスとその養女アンナの2人。

彼らはマヤ文明が眠る遺跡ルバアントゥンを発掘・調査していたところ、廃墟となった祭壇の下に光り輝くものを発見します。

2人が掘り起こしてみると、それが件の水晶ドクロだったといわけです。

歴史的大発見であるにもかかわらず、2人はこのドクロを世間に公表することなく私蔵してしまったため、世間では様々な憶測を呼ぶ事態となりました。

しかし、1970年代後半になってアンナがこのドクロの分析を依頼します。
依頼した先はカリフォルニア州にある研究所ヒューレット・パッカードでした。

同研究所による分析結果は次の通りです。

（１）ヘッジスのドクロはひとつの水晶から作られている

（２）道具により、加工された痕跡がない

（３）水晶の石目を無視して作られている

（４）作られた年代は不明

この中で特筆すべき点は（２）です。
同研究所の見解によれば、一切道具を使わずにこのドクロを再現した場合、300年はかかるとのこと。

この水晶ドクロが作られた具体的な年代までは特定できませんでしたが、それでもこれほど精巧な人工物を当時の技術で作れたはずがないのです。

同研究所の分析結果により、「ヘッジスが発見したドクロはオーパーツではないか？」と世間は騒然となったのです。

しかし、後にこのドクロの発見を巡って多くの疑惑が噴出することになりました。

ヘッジ・スカル発見に関する疑問点

まず、疑問視されたのはアンナの証言です。
彼女はこのドクロを自身の17回目の誕生日に発見したと語っていました。

つまり、このドクロが出土された1927年という年は彼女が17歳を迎える年でもあったというわけです。

ところが、彼女は探検隊のメンバーに加わっていなかったとする声が挙がったのです。
というのも、ヘッジス一行が現地で撮った写真には彼女の姿が撮されていなかったからです。

また、それを裏付けるものとして探検隊の主要メンバーであったトーマス・ガン博士の著書が挙げられます。

トーマス氏は今回の発掘調査を綴った『マヤの歴史』という本を1931年に出版しています。

しかし、そこにはアンナの名前はもちろん、水晶ドクロの存在さえ記されていないのです。

さらに付け加えるなのならば、歴史的大発見である水晶ドクロの写真が一枚たりとも記録されていなかったことです。

そして、この水晶ドクロの存在が疑問視される決定的な事実が判明します。

アンナ本人は、水晶ドクロを発見したのが1927年、つまり17歳目の誕生日と発言してますが、実はヘッジス一行はその前年の1926年にイギリスに帰国していました。

つまり、彼女を含むヘッジス一行は1927年の時点ではイギリスにいたことになるのです。
当時、イギリスにいた彼女が一体どのようにしてルバアントゥンの遺跡でドクロを”発見”したというのでしょうか？

うそが暴かれたヘッジス・スカル

発見者であるアンナの発言には多くの矛盾が含まれていることから、このドクロはしばしば真贋論争の火種となりました。

そこで事実関係を明らかにするべく、このドクロは再び分析にかけられることになります。

分析は1980年と2008年の2度に渡って行われました。
1980年にはアメリカの研究者フランク・ドーランド氏が、そして2008年にはスミソニアン研究所が分析を担当しています。

そして、ドーランド氏の分析ではドクロの歯の部分に機械を使用したと見られる痕跡が確認されたのです。
また、2008年にスミソニアン研究所が行った電子顕微鏡での分析でもダイヤモンド研磨剤による切断跡が確認されました。

つまり、今回の分析によってこのドクロには機械が使用されていたという事実が判明したのです。

その結果、この水晶ドクロは古代に作られたものではなく、19世紀以降に作られた代物であると結論づけられました。

アンナの発言の矛盾がほころびとなり、最終的にこの水晶ドクロの存在が”うそ”だったことが見破られたというわけです。